個性溢れる革素材!
革素材の分類・特性を知っておきましょう!
革素材の種類・特徴・個性を知ることが、革製品(革財布)を末永く活用することに繋がります。
”革財布”というと、なんとなく、「水の付着に弱い」「重さがある」といった一般的なイメージを思い浮かべて
しまうものですが・・。
実は、革財布に使用されている”革素材”はとても多様なもの。機能的な特徴・見た目の個性の異なる沢山の種類が
存在しています。
単純に「革財布とは」「革素材とは」と一括りにしては、語ることが出来ないものなんですよね。
”革素材”はある意味”生き物”と捉えることが出来るもの。革素材の特徴・個性を理解した上で、使い手側が適切な
対応をすることによって、革製品(革素材)は、一生使い続けていくことも可能となるからです。
ここでは、『革財布選び』をする上で、とても大切な要素となる、「革素材の種類・特徴・個性」に関する情報を
ご紹介したいと思います。
革素材の呼称(種類)には、異なる3種類のカテゴリーが存在しています。
”革素材”について語るときに、一番注意しなければいけないのが、「革素材の呼称(呼び名)」には、3つの種類(カテゴリー)
が存在しているということです。これが、「偽物の革財布の流通」などにも繋がる要因のひとつともなっているんですよね。
ですから、”上質な本革財布””本物の本革財布”を購入するためには、”革素材の呼称”を知っておく必要があるものと
思っています。”革の呼び名(呼称)種類”を理解しておかないと、「粗悪品」「偽物」の革財布を入手してしまうことに
も繋がりかねないですからね。
革素材の呼称種類(分類)として、認識しておいていただきたいのが下記となります。
1.原材料(原皮)の名称
2.革素材の個別名称
3.革素材に名付けられた商品名
上記の革素材名称は、カテゴリーとして理解しておくといいかと。
「原材料(原皮)の名称」 >
「革素材の個別名称」 >
「革素材に名付けられた商品名」
といった関係性となっています。
1.原材料(原皮)の名称。
まず、革素材を知る上で最もベーシックな呼称となるのが「原材料(原皮)の種類に基づく名称」です。
一般的に「牛革」「馬革」「山羊革」「ワニ革」などと呼ばれているのが、”原材料の種類に基づく名称”となります。
革の基本的な機能性(特徴)を理解する上で、ベースとなる分類です。
革素材として、最も汎用性の高い「牛革素材」に関しては、さらに、細分化された呼称が存在しています。
これは、また「牛革素材」の項目内にて、お話したいと思います。
2.革素材の個別名称
革素材は、革の特徴(機能、風情)を基準要素として、分類した上で、個別の名称が付けられています。
(中には、原材料の名称のみが呼称として使用され、特に個別の名称(革素材名)が付けられていないものも
あります。)
基本的には、原皮を基に”なめし加工””仕上げ加工”が施された革素材に対して、名称が付けられています。
例えば、代表的な革素材(名称)に下記があります。
・ブライドルレザー
・コードバン
・ベジタブルタンニンレザー
・オイルレザー
・クロコダイルレザー
・ヌバックレザーなど
また、それぞれ革素材に対して、”仕上加工種類”の違いによって、細分化された革素材名称が存在しています。
例えば「コードバン」素材に関しては、下記のような細分化された名称が存在しています。
・水染めコードバン(アニリン染めコードバン)
・オイルコードバン
・ナチュラルコードバン
3.革素材に名付けられた商品名
革素材には、各タナリー(革加工工場)ごとに、オリジナルの商品名が付けられた革素材が
多々存在しています。
一部「クロコダイル素材」を除くと、
ブランド価値を有している大半の革素材が商品名によるものなんですね。
例えば、「牛革素材」の中には、下記のような革素材(商品名)が存在しています。
・ミネルバボックス
・ミネルバリスシオ
・パティーナ
・ブッテーロなど
革財布の名称として、革素材名が混在して使用されていることが混乱の要因に!
”革素材名称”には、上記のようにカテゴリー毎の呼び名が存在しています。このことが、革財布を選ぶ上で、
混乱を招く要因のひとつとなっているんですね。
現状、革財布の商品名の表し方には、2種類のパターンが存在しています。ひとつが、「革素材名+財布」という表記。
もうひとつが「オリジナルの商品名」を表記するケースです。”オリジナルの商品名”で表す時でも、「革素材名」を
併記する形となっているのが大半です。
この革財布名称に使用する”革素材名”の表記方法には、特別な決まりが無いんですね。ですから、「原材料名」
で表記しているものもあれば、「革素材名」や「革素材の商品名」で表しているものも存在しているのです。
これが、購入者側にとって、混乱&誤解を招くポイントとなっています。
例えば、「牛革のベジタブルタンニンレザー”ブッテーロ”を使用して、作られた”○○という長財布”」が
あった場合、その表現方法としては、下記のような種類が存在することとなります。
*牛革仕様の長財布
*ベジタブルタンニンレザー仕様の長財布
*ブッテーロ仕様の長財布
*長財布「○○」
さらに細かく言えば、上記を混在させた表記バリエーションも存在することに。
本当は、上記のいずれもが”同じ革財布”を表しているのですが・・正直、まったく別物と感じてしまう方
の方が多いのではないでしょうかね。
このケースで言えば、「ブッテーロ」という革素材は、「牛革素材」であり、「ベジタブルタンニンレザー」
であることを認識しておくことが大切なポイントとなるわけです。
「財布」に仕様されている代表的な革素材。
革製品の中でも、革小物(財布)に使用される革素材は、「強度」「耐久性」「見栄え」「しなやかさ」
「手触り感」などのバランスが重要視されます。
”丈夫さ”を優先するあまり、単に強度が高いだけの革素材を使用しても、使いにくい財布と
なってしまう可能性がありますからね。
そんな”革財布”に使用できる代表的な人気の革素材をご紹介しておきたいと思います。
牛革素材
革財布に最も多く活用されている革素材が「牛革素材」です。人の手によって飼育されていることが、
素材の安定供給にも繋がり、財布の素材として多用されることに繋がっています。
牛革素材最大の特徴が”多様性”です。基本的に他の多くの革素材が”同質の原皮”から作られているのに
対して、牛革素材の場合は、原皮に特性の異なる種類(ハラコ、ベビーカーフ、カーフ、
キップ、ステアハイド、カウハイド、ブル)が存在。
その上で、異なる加工方法及び仕上げ方法が施されることによって、革素材が創出されますので、
必然的に、風情(見栄え)・特性の異なる多様な牛革素材が存在しているのです。
牛革素材:ベジタブルタンニンレザー(ヌメ革)。
植物性タンニンのみで、なめし加工の上、作られているのが”ベジタブルタンニンレザー(ヌメ革)”です。
牛革素材の中では、最もポピュラーな存在で、安価な部類に位置づけされています。
ただし、近年、ベジタブルタンニンレザーの中でも、ブランディングが進んでおり、イタリアでは「ブッテーロ」、
日本では「栃木レザー」などがブランディングに成功。付加価値(ブランド力)のあるベジタブルタンニンレザー
として、人気を得ています。
同じ”ベジタブルタンニンレザー”であっても、種類(商品名)こどに「硬さ感」「革の風合い」にそれぞれ個性があるのが特徴。
幅広い用途(財布の外装・内装。バッグなど)に活用されています。
■代表的なベジタブルタンニンレザー(付加価値あり)
・ブッテーロ
・パティーナ
・栃木レザー
牛革素材:ブライドルレザー。
”ブライドルレザー”は英国を発祥の地とする牛革素材。馬具などに用いられる堅牢な牛原皮使用。なめし加工した後に、
天然蜜蝋を時間をかけて革繊維内へと浸透させていく、「蝋引き仕上げ」により、創出される革素材となっています。
革表面に「ブルーム」と呼ばれる白い粉状の成分が付着しているのがブライドルレザーであることの証となっています。
これは、革繊維内に含有している天然蜜蝋が革表面に噴出することにより作られるもの。
革表面を”キズの付着”や”水滴”から守る機能も担っています。
ブライドルレザーには、特徴的に差別化できる種類はありません。しかしブライドルレザーを創出しているタナリーごとに
多少「風情」や「特徴」が異なることから、「タナリーの名称」を冠名とした呼び名が存在。ブライドルレザーの
機能性・価値観の違いを示す指標となっています。
■代表的なブライドルレザー
・セドウィック社製ブライドルレザー
・トーマスウェアー社製ブライドルレザー
・クレイトン社製ブライドルレザー
・ベイカー社製ブライドルレザー
牛革素材:オイルレザー(イタリアオイルレザー)。
牛革原皮をなめし加工した後に、天然オイルを皮繊維内にたっぷりと浸透させることにより、創出されるのが
「オイルレザー」です。
中でも、世界を代表するオイルレザーが「イタリアオイルレザー」。イタリア伝統的なパケッタ製法によって、創出される
革素材の総称です。
”イタリアオイルレザー”には、風情や特徴・機能性が大きく異なる種類が存在。その多様性がイタリアオイルレザーの
魅力となっています。
近年、日本において、革財布(メンズ)に最も多く活用されているのが”イタリアオイルレザー”であり、イタリアオイルレザー仕様
のメンズ財布は、最も多くの販売実績を有する財布となっています。
■代表的なイタリアオイルレザー
・ミネルバボックス
・ミネルバリスシオ
・ナポレオンカーフ
・マットーネ
牛革素材:プルアップレザー。
特徴的には、”オイルレザー”の一種となる「プルアップレザー」。”イタリアオイルレザー”との比較において、一番の違いと
なるのが革繊維内に含まれる天然オイル量です。
大量の天然オイルを皮繊維内に含んでいるのが特徴。それゆえに、「革の曲げ伸ばし」などをした時に、曲げ部分の
染料が天然オイルと共に移動、色模様の変化が生じるのが、プルアップレザーならではの特徴となっています。
その常に変化し続ける”色むら感”がプルアップレザーの魅力となっています。
牛革素材:ヌバックレザー(起毛加工レザー)。
”ヌバックレザー”は、牛原皮をなめし加工した後に起毛加工を施すことによって創出される革素材。
逆立った革表面の”あたたか”で”優しい”手触り感が特徴であり、魅力となっています。
一銀的に度々「ヌバック素材は、雨に弱い」という話を聞きますが、これは少々誤解を含んでいます。
まあ、基本的に「革素材」自体が水の付着に弱く、”水しみ”などを生じやすい特徴を有していますが、そんな革素材の中では、
「ヌバック」は、水しみになりにくい部類の革素材なのです。
革表面が起毛されていますので、水が直接革の表皮に触れにくいんですね。しかも表面張力の作用も加わって、
「水滴を弾き返す」仕組みを有しているのです。
ですから、”ヌバック仕様の財布”は、実用的な革財布となるのです。
牛革素材:ボックスカーフ。
牛革素材の中で、最も高級な革素材に位置づけられているのが「ボックスカーフ」です。”クロムなめし加工”により
創出される革素材。なめし加工後に、革表面に”シボ加工”が施されることにより、ボックスカーフが作られています。
ボックスカーフは、きめの細やかな”カーフ素材(子牛革)”をベースに作られていることもあり、革表面の均一性に
長けているのが最大の特徴に。
その均一的な革表面から創出される「美しい艶感」がボックスカーフの大きな魅力となっています。高級感に富んだ革素材
として、人気を有しています。
■代表的なプルアップレザー
・クリスペルカーフ
・アルバートカーフ
牛革素材:オークバーグ。
”オークバーグ”は、イギリスにて紀元前からの歴史を有する革素材と言われています。”オーク材(木材)”
をなめし過程にて使用する特殊な古の製法により創出される革素材。
革を作り上げるのに「1年もの」月日を必要としています。その過程で、オーク材の木目と色素が革表面に
沈着。木目柄の個性的な革風情がオークバーグ最大の魅力となっています。
ただ、昔ながらの製法によって、作られる”オークバーグ”は非常に手間がかかることから、革財布などに使用する
のには、非効率な革素材と受け止められ、近年では、オークバーグを使用した革際はほとんど作られていないのが
実情です。
”希少性”と”高価”。そして”自然の温もり”に満ちた革素材となっています。
馬革素材:コードバン素材。
「馬革素材」には、一般的な「馬革素材」と「コードバン素材」の2種類が存在しています。ただ、革財布(メンズ)として
使用されているのは「コードバン素材」です。
CORDOVANは、昔も今も、”革好き”の人(男性)にとっては、一種の憧れを有する革素材。「革のダイヤモンド」とも呼ばれるほど、
年々原皮の生産量が減少、希少性が増し続けています。価格も毎年更新(値上げ)されて続けていることから、今では、高級革素材
のひとつに位置づけられるようになりました。
”コードバン”は他の革素材とは大きく異なる「一層構造」の革素材。革繊維が同じ方向に、高い密度で並んでいます。
その結果、とても耐久性に富んだ革素材に。
コードバン仕様の革財布は、最も丈夫な革財布として、多くの男性から高い支持を得ています。
■代表的なコードバン素材
・水染めコードバン
・オイルコードバン
・ナチュラルコードバン
・蝋引きコードバン
ワニ革素材:クロコダイルレザー。
ワニ革素材は、古くから革財布・革バッグに活用されてきた人気の革素材。ワニ革素材にも、豊富な種類がありますが、
大きく分類すると、高級革素材に位置づけられている「クロコダイルレザー」と「その他ワニ革」の2種類に分けられます。
”クロコダイルレザー”と呼べるのが、「スモールクロコ(イリエワニ)」「ラージクロコ(ニューギニアワニ)」
「ナイルクロコ」「シャムワニ」の4種類が対象となっています。
「アリゲーター素材」「カイマン素材」などは、”クロコダイルレザー”ではありませんので、混同しないようにしていただければ
と思います。
クロコダイル仕様の革財布には、偽物が市場に多く出回っていることに注意が必要。クロコダイルレザーではない、ワニ革を使用した
革財布が、クロコダイル財布として、販売されていたりしますので。クロコダイル仕様の財布は、かならず正規輸入ルートを
有する公式SHOPで
購入するように心がけていただければと思います。
■代表的なクロコダイルレザー
・スモールクロコ(イリエワニ)
・ラージクロコ(ニューギニアワニ)
・ナイルクロコ
・シャムワニ
トカゲ革素材:リザード。
トカゲ革素材にも、多彩な種類が存在しています。ただ、一般的に高級革素材として、革財布に使用されているのは
「リザード」と呼ばれる”リングマークトカゲ革素材”。
”リザード”と呼称は、トカゲ革の総称ともなっていますので、区別しにくいのですが、価値のある革素材は
”リングマークトカゲ革素材”のみと認識しておいていただければと思います。
革表面に特有の”リング模様”があるのが名前の由来ともなっており、模様が均一に揃った上質なリザード仕様の革財布は、
高級革財布として、世界的な人気を有しています。
エキゾチックレザー(爬虫類系の革素材の総称)の中で”リザード”は、”クロコダイルレザー”に次いで高級革素材として高い価値を
有しています。
ダチョウ革素材:オーストリッチ。
”オーストリッチ”は、昔はかなりの高級革素材に位置づけられていました。今でも、オーストリッチ仕様の革製品には、
高級アイテムが存在していますが、昔と比べると、お求めやすい価格となってきているものと感じています。
というのも、”ダチョウの飼育”が盛んに行われるようになったから。その結果、ダチョウ革素材が安定的に供給されるように
なってきたからです。
オーストリッチの最大の特徴は、「革表面のクィルマークによるポイント模様」と「軽量さ」です。ポイント模様の大きさ&並び
が整っているものほど、高価な革素材となります。
革素材の中でも、突出した「軽さ」も大きな魅力となっています。
■代表的なオーストリッチ素材
・ハーフポイント
・フルポイント
象革素材:エレファントレザー。
希少性において、最上位に位置づけられるのが「エレファントレザー(象革)」です。
保護区などにて、保護されている象が死亡した時など、一定の条件に沿ったものだけが、「象革」として市場に提供されるもの。
ゆえに、安定供給が見込まれる革素材ではありません。ただし、希少性が高いがゆえに、「密漁」など不正規なルートによる革素材
も一般市場に一定量存在している状況。そんなエレファントレザーは、あくまでも違法なもの。購入対象外の意識は忘れないように
していだたければと思います。
エレファントレザーは、「重厚感」と「個性的な革模様(シワ模様)」が特徴。厚みのある革となっており、ボリューム感を
感じるのもポイントとなっています。
革のシワ模様には、どれ一つとっても同じものはこの世に存在していないもの。世界に一つだけの、革素材となることも、
人気の要素に。。
蛇革素材:パイソンレザー。
エキゾチックレザーの中で、女性に人気の革素材となっているのが「パイソンレザー」です。
中でも、”網目柄”が美しい「ダイモンドパイソン(アミメニシキヘビ)」が高級革素材として、高い人気を誇っています。
”パイソンレザー”は、「乾燥に弱い」ことから、日々の”汚れ落とし”と”保湿のお手入れ”が必要となる革素材。
そういう意味で、あまり耐久性は高い革素材とは言えません。
ちょっと特殊な人気を有しているのが、「ホワイトパイソンレザー」。日本においては、「白蛇レザー」として販売されている
ものもあります。
”白蛇レザー仕様の財布”は、金運が高まる財布として、日本では昔から重宝されているアイテム。
吉兆アイテムとして、高い人気を誇っています。
■代表的なパイソン素材
・ダイヤモンドパイソン
・白蛇レザー(ホワイトパイソン)